熊本日日新聞コラム「きょうの発言」記事
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リサイクルは大人の実行から


 情報誌をつくる仕事をしていると、いろんな仕事の依頼が舞い込む。  昨年十二月に供用を始めた「人吉球磨クリーンプラザ」(一般廃棄物処理施設)のホームページの素材収集、編集、作成の仕事もそのひとつ。
 「クリーンプラザ」は、単にゴミの最終処理というT受け身Uの仕事ばかりでなく、環境問題やリサイクルに関する生活情報などをインターネットを通じて積極的に市民に発信している。
 定期的に道路の清掃活動をするグループ、廃油を使ったせっけんづくりを実践している女性団体、空き缶拾いやゴミの分別収集に取り組む地区、リサイクル活動や川の水質調査を続ける小学校など、取材を通じてさまざまな人たちと出会った。
 中でも、公民館前に集められた地区の資源ごみを分別しておられた区長さんたちの姿は忘れられない。「分別したつもり」で出されているゴミの中には、ペットボトルの栓(せん)はついたまま、ラベルがはがされていない物も。
 不燃物の中には、危険な物も多い。軍手姿で作業する区長さんたちだが、いつけがをしても不思議ではないくらいだ。洗われていない空き缶からの悪臭もひどい。処理施設にそのまま持って行けないゴミの何と多いことか。
 大量生産、消費、廃棄のゴミ問題も、最後のちょっとした手間一つで、ちゃんとしたリサイクルができるのではないか。
 学校で、環境問題やリサイクル活動を勉強している子どもたちに対し、大人はそれを「実行」していると、自信を持って言えるだろうか。子どもたちが「勉強」と「実行」を別のこととしてとらえないよう、大人たちが「実行」して見せなければならない。

(平成15年(2003年)5月1日(木曜日) 熊本日日新聞 夕刊「きょうの発言」 文:有地 永遠子)

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