みんなで躍ろう「KUMAKOI」
以前この欄で「KUMAKOI六調子」というダンスミュージックのことを取り上げた。その仕掛け人の一人で、振興会発起人代表の深松文一郎さんにお会いする機会があった。
深松さんは、旧岡原村の村長。村長時代の深松さんについてはあまりよく知らないが、私の目の前にいる深松さんは「KUMAKOI」の普及について熱っぽく語る。全国的に有名な北海道の「北のYOSAKOIそーらん」に対抗して「南のKUMAKOI」に、と。
先だって行われたアピールイベントを見て納得した。人吉球磨に伝わる民謡「球磨の六調子」が、現代風にうまくアレンジされている。文化や伝統を、こうして形を変えて次の世代に残すことも一つの方法だろう。
「KUMAKOI」には、ほかにも大きな使命がある。それは「KUMAKOI」に引っ掛けた「球磨に恋」「球磨に来い」という言葉に込められている。つまり人吉球磨地域を一つにするきっかけ、そして、外へ向かって人吉球磨を知ってもらおう、ということだ。
合併する、しないの問題ではない。同じ相良藩七百年という歴史と共通文化を持ち、盆地という特殊な地形内にあって、市町村の枠を越えて一つになるものがあって当然だ、という深松さんの考えは良く理解できる。
振興会は、会員の会費でほとんどの運営をまかなっている、とも聞いた。とかくこうしたことは、行政の補助金などに頼りがちだが、まずは自分たちの力で進めよう、というあたりがまたいい。
熱い深松さんは実にカッコイイ。そして、カッコイイ「KUMAKOI六調子」をみんなで踊って、人吉球磨を全国へPRしよう。
(平成15年(2003年)6月19日(木曜日) 熊本日日新聞 夕刊「きょうの発言」 文:有地 永遠子)
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